第7章 指導者のためのコミュニケーション
このページは「キャンプ指導の基礎」の一部です。キャンプ指導の一般的な知識をまとめたもので、特定の資格講習の公式教材ではありません。本文の[番号]は、ページの下の「出典と調べた日」の番号です。
言語と非言語のコミュニケーション、コミュニケーションのスキル、伝え方の 5 つのポイント、ミーティングの持ち方を学びます。
このページで学ぶこと
- 言語と非言語、そして「7%・38%・55%」の数字の正しい読み方
- 聴く・簡潔に・やりとりを重ねる
- 伝え方の 5 つのポイントと、立つ位置
- ミーティングの持ち方
7.1 言語と非言語
コミュニケーションは、人が気持ちや意見、情報などを相手に伝えることです。英語の communication の接頭辞 com- には「ともに」という意味があります(common、compilation なども同じ)。
- 言語的コミュニケーション:言葉を使ったコミュニケーション
- 非言語的コミュニケーション:表情、声の調子、視線、しぐさ、姿勢、立ち居振る舞い、触れ合い、場と空間など。体調の変化(おなかが痛い、汗をかく、鳥肌が立つ)として現れるサインも含めて考えることがある
「コミュニケーションの大部分は非言語で伝わる」とよく言われます。ただし、有名な「言葉 7%・声 38%・表情 55%」という数字は、感情や態度を伝える場面で、言葉と非言語が食い違っているときの実験から導かれたものです。研究者本人も、それ以外の場面には当てはまらないと注意しています [37]。数字を一般化せず、「非言語の役割は大きい」と理解しておきましょう。
子どもの非言語に気づく:小さな子どもは、気持ちや体調を言葉でうまく伝えられません。体調が悪いのに、活動に参加したくて「元気です」と言うこともあります(本人も気づいていないことがあります)。言葉だけでなく、様子をよく見て対応しましょう。大人は言葉に頼りがちで、非言語のサインを見逃しやすいので注意が必要です。
7.2 コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルとは、コミュニケーションを行う上で身につけておくべき技法(テクニック)です。自覚して使いこなすことが大切です。
- まず徹底的に「聴く」(案外難しい)
- 伝えたいことを簡潔に述べる(結論 → 理由の順)
- 一度に話しきらず、「やりとり」を繰り返す
- その過程で、自分の傾向(話しすぎる、など)を知る
7.3 コミュニケーションのとり方:5 つのポイント
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| ① 対象を理解し、内容を整理する | 誰に(子どもか大人か)何を伝えるのか。相手が何も知らない前提で話す。話す前に内容を整理しておく。書いて伝える場合も同じ |
| ② 内容を確認する | 一往復で終わらせず、キャッチボールのように確かめ合う。「分かったつもり」が最も危険 |
| ③ 非言語を意図的に使う | 動作、姿勢、身振り、表情、視線、声の調子、場の雰囲気。人の記憶に強く残るのは、話の内容よりもこちらかもしれない |
| ④ 集まり方と立つ位置を工夫する | 暑さ寒さ、晴れか雨か、場所の広さや騒がしさに合わせて変える。小さな子どもは大人より消耗しやすい。話を聞く側が太陽に向かって目を細めることのないよう、指導者が太陽の側を向いて立つ。隊形(円形、扇形・U 字形、講義形式、整列形式)を目的に応じて選ぶ |
| ⑤ 道具を活用する | 印刷物、ホワイトボード、イラスト、図、スライドなど。屋内か屋外か、濡れるか、机があるかで選ぶ。キャンパーの特性に合わせる(紙に書くのは苦手でもキーボードなら得意な人もいる) |
1 対 1 の位置:向かい合う、斜め前に座る、横に並んで同じ方向を見る、などで、相手に伝わる意味が変わります。注意をするとき、励ますとき、相談に乗るときで使い分けましょう。
7.4 ミーティングの持ち方
- 一人ひとりの顔がしっかり見えるように集まる。
- 一日の終わりに、メンバー同士で意見を交わす場をつくる(反省やすれ違いの調整)。
- 場所を工夫すると、話の内容も自由になる(焚き火を囲んで、星空の下で、温かい飲み物を飲みながら)。
- キャンプの終盤には、キャンプ全体を振り返る。体験の意味や、自分の気持ちの変化が整理される。
考えてみよう
- 次に人前で説明するとき、「太陽の側を向いて立つ」以外に、聞く側のためにできる工夫を 3 つ挙げてみましょう。
- 「元気です」と言う子の、言葉以外のサインには何がありますか。
ふだんは
家族への連絡も、結論から簡潔に伝え、相手が分かったかを確かめる習慣をつけます。
もしもの時は
非常時の指示は、短く、相手を見て、確かめながら伝えると、混乱を減らせます。
出典と調べた日
- [37] Albert Mehrabian 本人のサイト(言語・非言語の割合についての注意書き) (2026-10-31 に確認)