第4章 安全管理(2)実施中の安全と事故のとき

このページは「キャンプ指導の基礎」の一部です。キャンプ指導の一般的な知識をまとめたもので、特定の資格講習の公式教材ではありません。本文の[番号]は、ページの下の「出典と調べた日」の番号です。

キャンプの最中に気をつけること、キャンプで注意する危険と起こりやすい病気・けが、事故が起きたときの 6 つの手順、刃物の持ち運びを学びます。

このページで学ぶこと

  • 実施中の安全管理の 9 つのポイント
  • 天気と気象の判断(観天望気、雷)
  • キャンプで注意する危険と、起こりやすい病気・けが
  • 事故が起きたときの手順と、刃物の持ち運び

4.5 実施中の安全管理

  1. 人数の確認と体調チェック(活動の前後、移動のたびに)
  2. キャンパーの行動に注意をはらう
  3. 危険箇所の再確認
  4. 気象状況の把握
  5. スタッフの居場所(テント)をキャンパーに伝えておく
  6. 避難の手順をあらかじめ決めておく
  7. 心の安全(安心して過ごせる雰囲気)
  8. 指導者自身の安全管理と健康管理
  9. 万一に備えた救急処置と、医療機関への搬送の手段

天気と気象

  • 天気予報は日頃からアプリなどで見慣れておく。山や水辺の天気は局地的に変わるので、地元の人にも尋ねる。
  • 観天望気:雲・風・気温などの様子から、経験をもとに天気の変化を予測すること [31]。
  • 雷:雷鳴が聞こえる、稲光が見えるなど、雷が近づいていることに気づいたら、すぐに安全な場所へ避難します [26]。
  • 総合的に判断し、早めに避難する、または中止・延期を決める。

4.6 キャンプで注意する危険

危険 内容と対策
道迷い 山岳遭難を態様別にみると、道迷いが最も多い(2025 年の遭難者の 30.9%)[21]。地図とコンパスに慣れておく。スマートフォンの GPS だけに頼るとバッテリー切れで現在地を見失うことがある。迷ったら引き返す。雨具・非常食を携行する
落石 台風・大雨の後や地震の後は特に注意する
動物 クマ・イノシシなどの野生動物。食べ物の管理を徹底し、近づかない
ハチ スズメバチなどが近づいてきても、手で振り払わずにじっとする。飛んでいる数が急に増えたら、近くに巣がある可能性がある [22]
植物 毒のある植物(ウルシなど)、枯れた大木、引っかかった枝の落下
一酸化炭素中毒 テントの中など換気が不十分な場所で、たき火・ガスこんろ・ストーブ・ランタンなどを使うと、一酸化炭素中毒になるおそれがある [23]。テント内の火気はやけどや火災の危険もある
刃物 包丁は使い終わったらすぐ洗ってしまう。食器と一緒に洗うと手を切る危険がある
転倒 開放的な気分でふざけて走る、ポケットに手を入れたまま歩く、などで転倒し大けがをする
川 石はぐらつき、苔で滑る。素足ではガラスなどでけがをする。急な増水に注意
海 離岸流:岸から沖へ向かう強い流れ。流されたら流れに逆らって泳がず、岸と平行に泳いで流れから抜け出す [28]。ライフジャケットを着けていても油断しない

4.7 キャンプで起こりやすい病気・けが

病気・けが ポイント
切り傷・刺し傷 刃物の扱い方を事前に指導する
やけど 火や熱湯の扱い。焚き火の周りの動線
細菌による食中毒 手洗い、加熱、食材の保管温度
毒草・毒キノコによる食中毒 採ったものを安易に食べない
便秘 環境の変化、トイレへの抵抗感。水分と食事に気を配る
熱中症 のどが渇く前から、こまめに定期的に水分と塩分を補給する [24]。暑さ指数(WBGT)を確かめ、こまめに休憩する
低体温症 体の中心の温度が 35℃まで下がった状態。疲労や栄養不足でなりやすく、気づきにくい。手足の冷えや寒さの訴えを見逃さない。風を避け、濡れた衣服は脱ぐ [25]

4.8 事故が起きたとき

あわてて右往左往すると、新たな事故を招きます。事前に指導者の役割分担と連絡網をチャートにしておきます。

順 対応 内容
① まず落ち着く 冷静に状況を判断する
② けが人の救護 負傷者の確認、応急処置、救急車などの手配
③ 二次災害の防止 救助者自身と、ほかの参加者の安全を確保する
④ 関係者への連絡 警察・関係機関(重大事故の場合)、本部、保護者。伝える内容をまず紙に書くと正確に伝わる
⑤ 記録 時間の流れに沿った措置、関係者・目撃者の名前と連絡先、状況(写真・スケッチ・メモ)
⑥ 保険会社への連絡 小さな事故でも連絡する
  • 携帯電話がその場所で通じるか、バッテリーの残量や予備はあるかを、事前に確かめておく。
  • 応急手当の講習を受けておく。日本赤十字社の救急法講習 [30] や、消防署の普通救命講習(心肺蘇生と AED)などがある。
  • スタッフ同士で、事故を想定した練習をしておく。

4.9 刃物の持ち運び

銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)第 22 条は、業務その他正当な理由による場合を除いて、刃体の長さが 6 センチメートルを超える刃物を携帯してはならないと定めています(刃体 8 センチメートル以下のはさみや折りたたみ式のナイフなどで、政令で定める種類・形状のものを除く)[31b]。警視庁は、正当な理由の例として、店で買った刃物を自宅に持ち帰る場合などを挙げ、護身用に持ち歩くことは正当な理由に当たらないとしています [32]。

キャンプで使う刃物は、使うときだけ取り出し、運ぶときはケースに入れて荷物にしまいましょう。使う予定がないときに持ち歩いたり、車に置いたままにしたりしないようにします。キャンプで使う目的が「正当な理由」に当たるかどうかは、状況によって判断されます(付録 A)。

4.10 計画段階こそ大切

キャンプ中の事故をできるだけ防ぐには、実地踏査などの事前準備を入念に行い、キャンプを行う場所に潜む危険因子をあらかじめ把握することが欠かせません。指導者は、けがや事故の起こる確率を、できるだけ低く抑えるよう努めなければなりません。

考えてみよう

  1. 事故が起きたときの 6 つの手順を、あなたのキャンプの人数と場所に当てはめて、誰が何をするか書き出してみましょう。
  2. 「携帯電話が通じない場所」で事故が起きたら、どうやって連絡しますか。

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ふだんは

キャンプの前に、近くの医療機関と、電波が通じるかを確かめておきます。

もしもの時は

落ち着く・救護・二次災害の防止・連絡・記録の順は、災害のときにもそのまま使えます。

出典と調べた日

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