第1章 キャンプとは何か

このページは「キャンプ指導の基礎」の一部です。キャンプ指導の一般的な知識をまとめたもので、特定の資格講習の公式教材ではありません。本文の[番号]は、ページの下の「出典と調べた日」の番号です。

レジャーのキャンプと「組織キャンプ」の違い、日本キャンプ協会が挙げる組織キャンプの 6 つの要件、キャンプの意義と種類、運営の組織を学びます。

このページで学ぶこと

  • レジャーのキャンプと組織キャンプの違い
  • 組織キャンプの 6 つの要件
  • 体験の 4 つの側面と、キャンプの種類
  • 運営の組織と、組織を動かす 3 つの基本

1.1 キャンプの 2 つの種類

キャンプは、自然環境のなかで、必要最低限の装備で生活・宿泊・活動することです。大きく次の 2 つに分けられます。

種類 目的 例
レジャー(レクリエーション)としてのキャンプ 家族や仲間で楽しむこと ファミリーキャンプ、ソロキャンプ、グランピング
組織キャンプ 明確な目的や教育的なねらいを達成するための手段 青少年キャンプ、学校の自然体験活動、環境教育キャンプ

レジャーとしてのキャンプでは、「指導」は必ずしも必要ありません。組織キャンプでは目的があるので、計画と指導、そして指導者が欠かせません。このテキストで「キャンプ」と書くときは、組織キャンプを指します。

1.2 組織キャンプの定義と要件

公益社団法人日本キャンプ協会は、組織キャンプを「ある目的を達成するために十分に準備され計画されたプログラムを持つキャンプ」と説明し、米国キャンプ協会(ACA)の定義も参考にして定義しています [1]。同協会は、組織キャンプの要件として次の 6 つを挙げています [1]。

  1. 意図・目的を持って行われること
  2. 組織的に行われること
  3. 立案から実施までのプロセスを重視すること
  4. 指導者が存在すること
  5. キャンパーを理解していること
  6. 自然環境と野外での生活や活動があること

同協会によると、組織キャンプでは責任者と指導スタッフの役割分担を明確にして運営します。参加者は小グループに分けられることが多く、期間は数日から 1 か月程度までさまざまです。宿泊を伴わない日帰りの活動を「デイキャンプ」と呼ぶこともあります [1]。

計画(Plan)→ 実施(Do)→ 評価(Check)→ 改善(Action)のサイクルを回し、結果を次のキャンプに活かすことも大切です。

1.3 「キャンプ」という言葉

英語の camp は、ラテン語の campus(開けた野原、平らな土地)に由来するとされています [43]。古英語にもすでに camp(戦い・戦場・開けた土地)という語があり、1520 年ごろにフランス語の camp(軍隊が一時的に宿営する場所)の影響を受けたとされています [43]。レクリエーションや教育としてのキャンプの意味は後から生まれました。大学の構内を指す「キャンパス」も同じ語源です。

1.4 なぜ今、組織キャンプが必要なのか

現代社会の課題として、都市化と地方の過疎化、情報化、少子高齢化、グローバル化、環境問題、直接体験の不足などがよく挙げられます。日本の総人口は 2008 年(平成 20 年)の 1 億 2,808 万人をピークに、2011 年以降は一貫して減少しています。2015 年には、75 歳以上人口の割合(12.8%)が 0〜14 歳人口の割合(12.5%)を上回りました [35]。

便利で効率的な生活と引き換えに、人と顔を合わせて交流する機会や、食事を自分たちで作るような基本的な生活の体験が減っています。組織キャンプは、こうした体験を意図的に用意する場の一つです。ただし、キャンプはこれらの課題すべてを解決できる万能の手段ではありません。課題とキャンプの関係を考えること自体が、キャンプへの理解を深めることにつながります。

1.5 キャンプの意義と目的

キャンプの意義(体験の 4 つの側面)

体験 内容
自然体験 自然のなかで五感を使って過ごす
社会性を学ぶ体験 グループ活動や共同生活を通して人と関わる
生活体験 食事づくり、テント設営など、生活に密着した体験
チャレンジ体験 日常とは違う課題に挑戦する

これらを通して、自然への理解、人間同士の相互理解、青少年期の成長が促されます。国の調査を紹介した文部科学省の資料には、自然体験を多く行った子どもほど自己肯定感が高く、道徳観・正義感がある傾向が見られる、との記述があります [34]。ただし、これは相関を示すもので、因果関係を示すものではありません。

組織キャンプの目的の例:キャンプの技術や知識を身につける/地域の文化や環境を学ぶ/国際交流を育む/環境教育/チームづくり、など。プロスポーツのチームが、ボールを使わない野外での合宿をチームづくりに取り入れている例もあります [39]。

1.6 キャンプの種類

分類の観点 例
対象 幼児キャンプ、青少年キャンプ、家族キャンプ、高齢者キャンプ
期間 デイキャンプ(日帰り)、短期キャンプ(1 泊 2 日程度)、長期キャンプ(1 週間〜1 か月)
目的 環境教育キャンプ、冒険キャンプ、ユニバーサルキャンプ、療育キャンプ、国際交流キャンプ
形態 固定したキャンプ場で過ごす定着型、登山・カヌー・自転車などで移動する移動型 [1]

参加者のニーズや期待をつかみ、最適な企画を立てることが指導者に求められます。

1.7 組織キャンプの運営組織

組織キャンプは、一般に次のような組織で運営されます。

層 マネジメント(運営)系 プログラム系
最高責任者 キャンプディレクター ← 同左
責任者 マネジメントディレクター プログラムディレクター
スタッフ マネジメントスタッフ グループリーダー(カウンセラー)
参加者 キャンパー

組織を円滑に動かす基本は、①自分の役割に徹する、②お互いに協力し合う、③報告・連絡・相談をきちんと行う、の 3 つです。

日本キャンプ協会の公認資格には、キャンパーや小グループを直接指導する「キャンプインストラクター」(認定は 18 歳以上)と、「キャンプディレクター」があります [5]。

考えてみよう

  1. あなたが参加した(または計画したい)キャンプは、6 つの要件のどれを満たしていますか。足りないものは何でしょう。
  2. 体験の 4 つの側面のうち、防災に最もつながると思うものはどれですか。理由も考えてみましょう。
  3. 「報告・連絡・相談」がうまくいかないと、キャンプでどんな問題が起きるでしょう。

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