ジビエ(シカ・イノシシの肉)は中心まで加熱|生食しない、器具を分ける
シカやイノシシなどの野生鳥獣の肉(ジビエ)を、キャンプで焼いたり、狩猟をする知人から分けてもらったりする機会が増えています。厚生労働省は、野生鳥獣は牛や豚などの家畜と違い、えさや健康状態が管理されていないため、人に病気を起こす病原体を持っている可能性が高いとしています。
どんな危険があるか(厚生労働省)
| 病原体 | 厚生労働省の説明 |
|---|---|
| E型肝炎ウイルス | 妊婦に感染すると劇症化しやすく、致死率が20%に達することもある。調理の段階でも血液を介して感染するおそれがあるため、皮膚の傷からウイルスが入らないよう注意する |
| 旋毛虫(トリヒナ) | 多数感染した最悪の場合、感染4〜6週後に呼吸麻痺を起こして死に至る |
| 腸管出血性大腸菌など | 野生鳥獣肉からも検出されている |
厚生労働省のQ&Aは、過去にシカ肉を生で食べた4名が6〜7週間後にE型肝炎を発症した例を挙げ、ジビエの生食は危険だとしています。クマ肉のローストを原因とする旋毛虫(トリヒナ)の食中毒も、飲食店で起きています(令和元年の通知)。
加熱の目安
厚生労働省のガイドライン(令和5年6月改正)は、自分で食べる場合や人からもらった肉を食べる場合でも、中心部の温度が75℃で1分間以上、またはこれと同等以上の方法で、十分に加熱して食べるよう求めています。
Q&Aによれば、目安は肉の中心部まで色が変わっていることです。同等の加熱として、70℃で3分、69℃で4分、68℃で5分、67℃で8分、66℃で11分、65℃で15分が妥当と考えられるとしています。分厚い肉を焼くときは、中心温度計を使うと確かです(このサイトからの提案)。
調理するときの注意
- 見た目に異常がなくても、高い割合で微生物や寄生虫に感染しているため、まな板や包丁などの器具を使い分ける(ガイドライン)。
- 処理が終わるごとに、器具を洗って消毒する(厚生労働省)。
- 手に傷があるときは手袋をするなど、肉の血液が傷に触れないようにする(このサイトからの提案。厚生労働省の「皮膚の傷から」の注意による)。
- 保存は10℃以下(ガイドライン)。キャンプではクーラーボックスで冷やし、ほかの食材と分ける。
狩猟をする人へ
ガイドラインは、腹部に弾が当たった個体は食用にしないこと、ダニなどを介した感染を防ぐため、長袖・長ズボン・手袋などを着けて扱うことなどを定めています。もともとは処理施設のための指針ですが、自家消費のために処理をする人が参考にすることもできるとしています。マダニの対策はマダニとSFTSをご覧ください。
豚熱について
イノシシで見つかっている豚熱について、農林水産省は、豚熱は人に感染しないとしています。ただし、ほかの病原体の危険は変わらないので、加熱の決まりは同じです。
ふだんは
ジビエを料理するときは、まな板と包丁を分け、中心温度計で中まで火が通ったかを確かめます。
もしもの時は
人からもらったジビエも、生や半生で食べず、十分に加熱して安全に食べられます。
出典と調べた日
- 厚生労働省「ジビエ(野生鳥獣の肉)の衛生管理」 (2026-10-31 に確認)
- 厚生労働省「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)の一部改正について」(令和5年6月26日・PDF) (2026-10-31 に確認)
- 厚生労働省「野生鳥獣肉(ジビエ)に関するQ&A」(PDF) (2026-10-31 に確認)
- 厚生労働省「野生鳥獣肉による食中毒防止の徹底について」(令和元年12月20日・PDF) (2026-10-31 に確認)
- 農林水産省「ジビエ利用拡大コーナー」 (2026-10-31 に確認)
- 農林水産省「豚熱について」(ジビエ利用拡大コーナー) (2026-10-31 に確認)