着衣のまま水に落ちたら|泳がずに「浮いて待て」、見つけた人は水に入らない

文部科学省の「水泳指導の手引」は、現実の水の事故は、海、川、湖などの自然の中で、服を着たまま起きることが多いとしています。日本赤十字社福岡県支部の資料も、屋外の水の事故は、通行中、魚釣り、水遊びなど服を着た状態で起きたものが全体の8割を占めるとしています。水着で泳げることと、服のまま落ちたときに助かることは別の力です。

「浮いて待て」とは

第八管区海上保安本部の資料は、「浮いて待て」を、服を着たまま海や川に落ちたときに、そのままの状態で呼吸を確保し、できるだけ体力を使わずに救助を待つことで、生きて帰れる可能性を高める自己救命策だと説明しています。一般社団法人水難学会が提唱したもので、学校の教育にも取り入れられています。

浮き方の4つのポイント(第八管区海上保安本部)

  1. 落ち着いて体の力を抜く。
  2. 息を吐くのを我慢する。
  3. 背浮きになる(このとき、耳は水につける)。
  4. あごを上げ、手足を大の字にする(姿勢を安定させるため)。

日本赤十字社は、まずは「泳ぐ」ではなく「浮く」、服を着た状態で呼吸を確保することが大切だとしています。ポイントとして、顔や目線は真上に向ける、体の力を抜いて腕と両脚を伸ばす、空気をたくさん吸い込んで少しずつ呼吸する、怖がって腰を引かない、服や靴は脱がない、を挙げています。

やってはいけないこと

してしまいがちなこと資料の説明
服や靴を脱ぐ服は脱いではいけない。体温の低下や体の傷から守り、浮く助けにもなる(東京消防庁)。水中で服や靴を脱ぐのは危険(日本赤十字社)
声を出す・手を振って助けを呼ぶ十分な浮力がないときに声を出したり手を振ったりすると、溺れてしまうことがある(海上保安庁)
岸に向かって泳ぐ東京消防庁は「やってはいけないこと」に挙げている。海上保安庁は、自力で陸地に向かえる場合は体力を考えながら落ち着いて向かい、難しい場合は楽な姿勢で浮いて救助を待つ、としている

海上保安庁によると、体は海では約5%(淡水では約2%)しか浮きません。だから、息を吸って肺に空気をため、体を水平にすることが大切になります。ペットボトルが手に入ったら、へそのあたりに抱えて背浮きをします(東京消防庁)。

川では浮くだけでは足りないことも

海上保安庁は、川には流れがあり、体に横向きや下向きの力がかかるため、浮いていること自体が難しい場所だとしています。日本赤十字社は、川で流されたときは、足を下流に向け、足先を水面まで持ち上げた背泳ぎの体勢をとるよう勧めています。海の「大の字の背浮き」とは姿勢が違います。川遊びの注意は川遊びの水難を防ぐをご覧ください。

人が溺れているのを見たら

  • 水に入らない:溺れている人を見つけて、自分も水に入って泳いで助けようとするのは、とても危険(東京消防庁)。流れがある所や水底が見えない場所では、飛び込まずに、大きなペットボトルなど、つかまって浮く物を投げ入れる(総務省消防庁)。
  • 浮く物を投げる:ペットボトル、クーラーボックス、バケツ、サッカーボール、未開封のポテトチップスの大袋なども浮き具の代わりになる(日本赤十字社)。ペットボトルは投げやすいように水や砂を少し入れてキャップを閉め、相手に当たらないように、手が届く範囲に投げる(海上保安庁)。
  • 複数で:一人より複数人で、陸から浮き具の代わりになる物を渡して落ち着かせ、できれば長い棒などで陸に引き寄せる(日本赤十字社)。
  • 通報:海の事故は118番(海上保安庁)。海難事故に遭ったり目撃したりしたときは118番に通報するよう呼びかけられています(政府広報オンライン)。東京消防庁の資料は「海は118番、川は119番」としています。海か川かで番号を分けて書く資料があるので、水辺に出かける前に確かめておきましょう(このサイトからの提案)。

練習しておく

文部科学省の手引は、服を着たままの水泳では、速く泳ぐことを強調するのは危険で、長い間浮くこと(浮き身)の練習が大切だとしています。プールの着衣泳の機会や、日本赤十字社の水上安全法の講習で、一度体験しておくと安心です。キャンプや釣りで水辺に行くときは、ライフジャケットを着るのがいちばんの備えです(このサイトからの提案)。

ふだんは

プールで、服を着たまま背浮きをする練習をしておきます。学校や日本赤十字社の講習でも学べます。

もしもの時は

水に落ちても慌てずに背浮きで呼吸を保ち、人が落ちるのを見たら、飛び込まずに浮く物を投げて通報できます。

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