避難生活で体を動かす|「動かない」が続くと「動けなくなる」

厚生労働省は、「動かない」(生活が不活発な)状態が続くことで心身の機能が下がり、「動けなくなる」ことを「生活不活発病」と呼んでいます。学術用語では廃用症候群と呼ばれるもので、生活の不活発が原因で起きることを、本人に分かりやすくするための名前です(厚生労働省のサイトに載るマニュアル)。令和8年8月にも、熊本地震の避難所などでの予防について、厚生労働省が都道府県の担当部局に事務連絡を出し、リーフレットを避難所での掲示や配布に使うよう求めています。

なぜ避難所で起きやすいか

厚生労働省の避難所用のリーフレットは、次のような状況を挙げています。

  • 動き回ることが不自由になりがち。
  • それまで自分でしていた掃除や炊事、買い物などができない。
  • ボランティアなどから「自分達でやりますよ」と言われて、あまり動かない。
  • 心身の疲れがたまる。家庭での役割や人との付き合いの範囲も狭くなりがち。

生活不活発病が起きると、歩くことが難しくなったり疲れやすくなったりして「動きにくく」なり、「動かない」ことでさらに進むという悪循環になります(同)。

誰が起こしやすいか

リーフレットは、特に高齢の人や持病のある人が起こしやすいとしています。マニュアルは、一見元気な高齢者でも注意が必要だとし、「近くしか歩いていない」「壁や家具の伝い歩き」を例に挙げています。体だけでなく、心や頭の働きも含めて全身の機能が下がるとしています。

避難所でできること(厚生労働省のリーフレット)

  • 毎日の生活の中で活発に動く。横になっているより、なるべく座る。
  • 動きやすいよう、身の回りを片付けておく。
  • 歩きにくくなっても、すぐに車いすを使うのではなく、杖などで工夫する。
  • 避難所でも楽しみや役割をもつ。遠慮せずに、気分転換を兼ねて散歩や運動も。
  • 「安静第一」「無理は禁物」と思いこまない。病気のときは、どの程度動いてよいかを相談する。

被災地域で生活する人向けのもう一つのリーフレットは、疲れやすいときは「少しずつ回数多く」動くよう勧めています。台東保健所のハンドブックも、日中は布団をたたんで横になる時間を減らし、一度にきつい運動はせず、間隔をあけて体を動かすよう呼びかけています。福岡県の資料は、限られた空間でもできる脚の運動として、脚や足の指を動かす、かかとを上下に動かすことを挙げています。

日本赤十字社も、じっとしていると筋力や体力の低下につながるとして、身の回りを片付けて動きやすい環境を作り、積極的に動くよう呼びかけています。

手助けする側の注意

リーフレットは、ボランティアなども必要以上の手助けはしないよう呼びかけています。マニュアルも、不適切・過剰な介護サービスや車いすの使用などは生活不活発病を加速するとしています。家族や近所の高齢者には、代わりにやってあげるより、一緒にやる、役割をお願いする方が助けになります。

内閣府の避難所運営のガイドライン(令和6年12月改定)は、チェックリストに「生活不活発病対策として体操等を実施する」を入れ、立ち上がりやすいベッドの導入も効果的だとしています。

ふだんからできること(このサイトからの提案)

  • 座りっぱなしを減らす習慣は、避難生活でもそのまま役に立ちます(座りすぎを減らす)。
  • キャンプでの設営・炊事・片付けは、家族それぞれが役割をもつ練習になります。
  • 車中泊のときに起きやすい症状は車中泊とエコノミークラス症候群にまとめました。

ふだんは

ふだんから、座りっぱなしを減らし、家事や散歩で体を動かす習慣をつけておきます。

もしもの時は

避難所でも、横になるより座る、片付けや役割を引き受けるなどして、動ける体を保てます。

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