徒歩帰宅に備える|まず「むやみに移動しない」、歩くのは4日目以降が目安

大地震で電車が止まったら、歩いて帰る。そう考えている人は多いと思います。けれど国と東京都が最初に求めているのは、歩く体力より先に、「むやみに移動を開始しない」ことです。

なぜ、すぐに帰らないのか

内閣府のガイドライン(令和8年1月)は、大規模地震のときは「むやみに移動を開始しない」という一斉帰宅抑制の基本原則を徹底することが欠かせないとしています。多くの人が一斉に帰り始めると、緊急車両の通行を妨げ、応急活動に支障が出ることが心配されるためです。東京都のハンドブックも、救助・救命活動の妨げや、徒歩帰宅中に余震などで二次災害に遭うおそれがあるとして、災害発生から72時間はむやみに移動せず、安全な場所に留まるよう呼びかけています。

時期国のガイドラインが想定していること
発災から 72 時間(3 日間)原則として安全な場所で待つ。企業は従業員が事業所内に待機できるよう、3 日分の水・食料・毛布などを備蓄するよう努める
おおむね 4 日目以降応急活動が落ち着くころを目安に、順に帰宅する

ガイドラインは、災害の規模や被害の状況によっては3日目までに行政などによる帰宅支援ができる場合もあり、4日目以降でないと帰宅させてはならないというものではない、とも書いています。

どれくらいの人が帰れなくなるか

  • 東日本大震災では、首都圏で約515万人(内閣府推計)の帰宅困難者が出た(内閣府のガイドライン)。
  • 首都直下地震(都心南部直下地震)の想定では、帰宅困難者は東京都市圏で約840万人、うち東京都で約480万人(令和7年12月の被害想定)。

想定の数は、資料によって前提や対象が違います。東京都が令和4年に公表した独自の想定(都内で約453万人)とは、比べないでください。

何km なら歩いて帰れるか

よく聞く「10km までは帰れる、20km を超えると難しい」は、平成17年の首都直下地震の被害想定で人数を計算するために置いた仮定です。中央防災会議の資料は、帰宅までの距離が10km以内の人は全員「帰宅可能」、10〜20kmでは個人の運動能力の差から1km長くなるごとに「帰宅可能」者が10%減る、20km以上の人は全員「帰宅困難」としています。歩いて帰れる距離を国が勧めた数字ではありません。自分が何km歩けるかは、実際に歩いて確かめるのが確実です。

帰ると決めたら(一斉帰宅抑制後の帰宅行動指針)

  • 鉄道が再開しても、再開直後は輸送力が落ちるため、歩いて帰れる距離の人は、できる限り歩いて帰る。
  • 性急に帰り始めず、経路、所要時間、持ち物、トイレが使える中継点などを確かめ、帰り始める時期を見極める。
  • 途中では、災害時帰宅支援ステーションで、水道水・トイレ・沿道の情報・休憩の場の提供を受けられる(内閣府)。東京都は、都立学校などを災害時帰宅支援ステーションにしています。

ふだんの備え(同じ指針)

  • 勤務先には、待機のための備え(水、食料、着替え、携帯トイレ、生理用品、携帯電話の充電器など)と、徒歩帰宅のための備え(歩きやすい靴、日常の行動範囲の地図、救急用具など)を置いておく。
  • 徒歩帰宅の経路は複数を考え、沿道の様子や災害時帰宅支援ステーションの場所を、実際に歩いて確かめておく。

歩ける体をつくる(このサイトからの提案)

  • 休日に、職場から家までの道を区切って歩いてみる。1時間で何km歩けるか、どこで足が痛くなるかが分かります。
  • 通勤の靴とは別に、歩きやすい靴を職場に置く。靴ずれ用のばんそうこうも。
  • 毎日の歩く量を増やすことは、厚生労働省の運動の目安にもかないます(避難所まで歩ける体をつくる)。
  • 家族とは、連絡がつかないときにどうするかを決めておく(災害用伝言ダイヤル171)。

ふだんは

職場から家まで、休日に一度歩いてみて、経路と時間、靴の具合を確かめておきます。

もしもの時は

大地震のときに、慌てて帰り始めず、待つべきときは待ち、帰れるようになったら歩いて帰れます。

出典と調べた日

誤りを見つけたら、お問い合わせの種類「記事の誤りの連絡」でお知らせください。確かめて直し、更新履歴に記録します。