沢や川の水をそのまま飲まない|北海道のエキノコックスと、煮沸の目安
山の沢の水は冷たく澄んでいて、そのまま飲みたくなります。けれど、見た目がきれいでも安全とは限りません。
北海道ではエキノコックスに注意
厚生労働省によると、日本では北海道のキタキツネが主な感染源です。ふんの中にエキノコックスの卵が出され、人はその卵が手指、食べ物、水などを介して口から入ることで感染します。北海道は、キツネやそのふんに直接さわったり、ふんで汚れた山菜や沢水を口にしたりすると感染の危険があるとしています。
厚生労働省によると、病巣の広がりはきわめてゆっくりで、成人では初期の症状が出るまで通常10年以上かかります。飲んだときに何も起きなくても、安全だったとは言えません。
| 資料 | 呼びかけ |
|---|---|
| 北海道 | 沢水や小川などの生水は飲まないようにしましょう |
| 厚生労働省 | 沢や川の水は煮沸してから飲む |
| 根室保健所 | 沢水や小川の水などなま水は飲まない。飲む場合は、煮沸してから飲む |
| 函館市 | 沢水、小川などの生水を飲まない(井戸水、湧水は煮沸してから飲む) |
| 環境省(知床の国立公園) | 生水にはエキノコックスの卵が入っている可能性がある。煮沸して飲用する |
煮沸の目安
北海道によると、エキノコックスの卵はマイナス20℃程度の低温では死にませんが、熱には弱く、100℃で1分煮沸すると確実に殺せます。凍らせても安全にはなりません。
米国のCDCも、煮沸を水の中の病原体を殺すいちばんよい方法としていて、ぐらぐらと沸騰させて1分(標高約2,000m以上では3分)が目安です。知床について環境省は、硫黄山西側の山麓の川の多くは強い酸性で飲用に適さないとも注意しています。煮沸で消せないものもあるということです。
北海道の外でも
国立感染症研究所の報告には、群馬県で、沢水(湧水)を10年間飲んでいた人がランブル鞭毛虫(ジアルジア)に感染し、沢水の飲用が原因と疑われた例があります。ただし、その人が飲んだ沢水と周辺の沢水からは、原虫は検出されませんでした。「沢の水が原因と断定された」わけではありませんが、野生動物のいる場所の水には、目に見えない病原体が入るおそれがあると考えておきましょう。
キャンプと登山で(このサイトからの提案)
- 飲み水は家から持っていくのが基本。足りなくなりそうなら、水場の情報を事前に確かめる。
- 沢の水を使うときは、煮沸してから飲む・調理する。燃料は煮沸の分も見込んで持つ。
- 携帯用の浄水器は、どの病原体を除けるかが製品によって違います。米国のCDCは、ろ過のあとに消毒(煮沸など)をすることを勧めています。公的な資料で、浄水器でエキノコックスの卵を除けると確かめられたものは見つかりませんでした。
- 北海道では、山菜や野いちごもよく洗うか加熱してから食べる。
家庭の水の備えと煮沸の目安は、断水への備えにまとめています。
ふだんは
キャンプや登山では、飲み水は持参するか、沢の水を使うときは必ず煮沸します。
もしもの時は
断水で川や沢の水を使うときも、煮沸してから飲むことを知っていれば、感染症を防げます。
出典と調べた日
- 北海道「エキノコックス症について」(2026年9月11日) (2026-10-31 に確認)
- 北海道「エキノコックス症の知識と予防」(2026年9月11日) (2026-10-31 に確認)
- 厚生労働省「エキノコックス症」 (2026-10-31 に確認)
- 北海道 根室振興局(根室保健所)「エキノコックス症予防」 (2026-10-31 に確認)
- 函館市「エキノコックス症について」(2025年7月23日更新) (2026-10-31 に確認)
- 環境省「知床半島先端部地区FAQ」 (2026-10-31 に確認)
- 国立感染症研究所 IASR「沢水飲用が原因として疑われるジアルジアの国内感染事例―群馬県」(2015年1月号) (2026-10-31 に確認)
- CDC(米国疾病対策センター)「About Water Treatment Options When Hiking, Camping, or Traveling」(英語) (2026-10-31 に確認)