実技5 プログラムの選び方とレパートリー
このページは「キャンプ指導の基礎」の一部です。キャンプ指導の一般的な知識をまとめたもので、特定の資格講習の公式教材ではありません。本文の[番号]は、ページの下の「出典と調べた日」の番号です。
キャンプのプログラムを、ねらいとグループの段階に合わせて選ぶ考え方と、アイスブレイク、自然とふれあう活動、人とかかわる活動、冒険の要素がある活動、クラフト、地域を学ぶ活動、夜と雨の日の活動を、安全の注意とともに紹介します。
このページで学ぶこと
- ねらいとグループの段階に合わせたプログラムの選び方
- 活動の後のふりかえり
- 自然の物を採るときの法律とルール
- 夜の活動・クラフト・課題解決の活動の安全
プログラムの選び方
プログラムは「楽しそうだから」だけで選ばず、キャンプのねらい、参加者の年齢と経験、グループの育ち具合、場所、季節、天候に合わせて選び、並べます。グループの段階(第8章)に合わせると、たとえば次のような組み立てになります(このサイトの整理)。
| グループの段階 | 向いているプログラム |
|---|---|
| 初日:出会ったばかり | アイスブレイク、名前を覚えるゲーム、キャンプ場の散策 |
| 前半:打ち解けはじめる | 自然とふれあう活動、簡単な協力ゲーム、野外炊事 |
| 中ごろ:ぶつかり合いが出る | 人とかかわる活動(課題解決)とふりかえり、ハイキング |
| 後半:まとまってくる | 冒険の要素がある活動、選択プログラム、キャンプファイアーの出し物づくり |
体験は、ふりかえって初めて学びになります。「何が起きた?」「なぜそうなった?」「次はどうする?」と問いかける短い時間を、活動の終わりに必ずとります(体験学習でよく使われる、体験 → ふりかえり → 考える → 次に生かす、の流れ)。
アイスブレイク
初対面の緊張をほぐす短い活動です。体を動かし、笑い、自然に相手と関われるものが向いています。
- 数集まり:かけ声のたびに拍手を 1 回、2 回…と増やし、「集まれ」の合図で直前の拍手の数と同じ人数で集まる。余った人は自己紹介をする。
- じゃんけん手たたき:2 人組で左手で握手し、右手でじゃんけん。勝った人は相手の左手の甲をたたき、負けた人は右手で防ぐ。
- 私はだれでしょう:背中に動物の名前を貼り、「はい・いいえ」で答えられる質問だけを周りの人にして、自分が何かを当てる。
- ジャンボじゃんけん:3 人以上のグループで、しゃがむ・立つの組み合わせでグー・チョキ・パーを表し、ほかのグループと勝負する。
おんぶや手をたたく活動は、体格の差や、体に触れられることが苦手な参加者に配慮して選びます(このサイトからの提案)。
自然とふれあう活動
- 森のビンゴ:「赤い実」「とげのある葉」などを書いたビンゴのカードを持って、自然の中で探す。
- カモフラージュ:道沿いに人工物(洗濯ばさみ、ぬいぐるみなど)を置いておき、歩きながらいくつ見つけられるかを数える。見つけにくい色の物も混ぜると、動物の保護色の話につながる。
- 手と鼻で観察:2 人組で、目隠しをした人を相手が植物のところへ案内し、手ざわりやにおいで観察する。最後に目隠しを外して、触った植物を探し当てる。案内する植物にウルシやイラクサなどがないか、指導者が先に確かめておく(このサイトからの提案)。
- スカイライトギャラリー:葉や花びらを透明なシートに挟んで模様を作り、木の間に張って、寝ころんで光に透かして見る。張る木の上に枯れ枝がないかを確かめる(このサイトからの提案)。
自然の物を採るときのルール:国立公園・国定公園の特別保護地区では、木竹以外の植物を採ることや、落ち葉・落ち枝を拾うことにも、許可が要ります(自然公園法 第 21 条)[1]。特別地域でも、土や石を採ることや、指定された高山植物などを採ることには許可が要ります(同 第 20 条)[1]。キャンプ場や地域のルールを先に確かめ、「生きている植物は折らない・抜かない」「落ちている物を必要な分だけ」「使い終わったら元の場所へ返す」を原則にします(このサイトからの提案)。
自然体験のプログラムと指導者の養成は、次のような団体が行っています。詳しくは各団体のサイトで確かめてください。
- 公益社団法人 日本シェアリングネイチャー協会(ネイチャーゲーム)
- 一般財団法人 公園財団 プロジェクト・ワイルド事務局(野生生物を題材にした環境教育)
- 公益財団法人 河川財団(プロジェクト WET。水を題材にした教育)
人とかかわる活動(課題解決)
グループで課題に挑み、協力のしかたを学ぶ活動です。たとえば、地面から少し高く張ったロープに触れずに全員が越える、2 本のロープだけで離れた場所の容器を運ぶ、手をつないだまま絡まった輪をほどく(ヒューマンノット)、全員の指先だけで輪を上げ下げする、といった課題があります。
- 体を持ち上げる・高い所に乗る活動では、補助者(スポッター)を置き、持ち上げる高さや姿勢のルールを決める。地面の石や木の根を取り除く。
- 挑戦するかどうかは本人が決めてよい、という考え方を原則にし、参加しない選び方も尊重する。
- 目隠しの活動は、段差や障害物のない場所で、指導者が通り道の安全を見ながら行う。
- こうした活動は、体系的な研修を受けた指導者が行うのが望ましいものです。研修は、たとえば株式会社プロジェクトアドベンチャージャパンなどが行っています。
(このリストは、このサイトからの提案です。)
冒険の要素がある活動
一人で一晩過ごすソロビバーク、沢登り、ロッククライミング、テントと食料を背負う遠征登山、いかだ作りなどがあります。参加者が「できないかもしれない」と感じる課題を乗り越える体験が、自信と仲間への信頼を育てます。魅力は「気持ちの上では怖いが、実際の危険は管理されている」ことにあり、実際の危険を管理するには、専門の技術・装備・資格をもつ指導者が欠かせません(このサイトの考え)。冒険教育は、たとえば公益財団法人 日本アウトワード・バウンド協会などが行っています。
ネイチャークラフト
拾った石に色を塗る、葉の裏に絵の具を塗ってスタンプにする、小枝を削って磨きキーホルダーにする、どんぐりや小枝でマスコットを作る、板に木の実や枝を留めて写真立てにする、などがあります。
- 先が高温になるウッドバーニングペン、グルーガン(ホットボンド)、ハンドバーナーは、使う場所と置き場所を決め、指導者が付いているときだけ使わせる。
- ナイフで削る作業は、実技3 刃物と燃焼器具の約束を先に教える。
- スプレーの塗料は風通しのよい屋外で使う。
(このリストは、このサイトからの提案です。)
地域を学ぶ活動と生活文化の体験
キャンプ地の地域そのものを教材にします。名所や祭り、方言、特産物、動物や植物、地質を調べる学習のほか、間伐などの林業、牛舎の世話や搾乳などの酪農、田植えや稲刈り、地引き網、魚をさばく、といった体験もできます。地域の人を講師に招くと、暮らしの知恵に直接触れられます。
動物とふれあった後は、必ず石けんで十分に手を洗います。厚生労働省は、牛などの反すう動物が O157 などの腸管出血性大腸菌を持っていることがあるとして、動物とふれあった後の手洗いを呼びかけています[2]。
夜の活動
- 暗さを楽しむ:手作りのろうそくランタンで小さく照らす自然観察、満月の夜の影ふみ、星空観察。懐中電灯に赤いセロハンを貼ると、星座早見盤を見た後も目が暗さに慣れたままで、星が見やすくなります。
- 音を楽しむ:耳を澄ませて夜の音を探し、何の音かを推理する。
- 安らぐ:温かい飲み物を用意して、ゆっくり話す時間をとる。
夜の活動は、必ず昼のうちにコースを下見して段差・水辺・崖・張り綱などを確かめ、出発前・途中・帰ったときに人数を数えます。怖がらせること自体を目的にせず、暗さが苦手な子には指導者のそばにいる選び方を用意します。ろうそくを使うときは、風よけと消火の水を用意します(このサイトからの提案)。
星を指すのにレーザーポインターを使う場合、経済産業省は、レーザーポインターを消費生活用製品安全法の PSC マークの制度の「特別特定製品」に挙げています[3]。PSC マークのある製品を選びます(このサイトからの提案)。航空法では、空港周辺などの決められた空域を飛ぶ航空機にレーザー光を当てることが禁じられています[4]。人の目や航空機には決して向けず、指導者だけが扱います(このサイトからの提案)。
雨の日の活動
雨の日のプログラムを準備しておくのは、計画の基本です。屋外なら、雨具を着ての雨の観察ハイク、決まった量の雨水を工夫して集める競争、ブルーシートとロープでのあずまやづくり。屋内なら、キャンプ新聞づくり、てるてる坊主づくり、大切な人への手紙、クラフト、歌のつどいなどがあります。
ただし、雷が鳴っているときは屋外の活動をやめて建物の中へ避難し、大雨で川の増水や土砂災害のおそれがあるときは、雨の日のプログラムではなく撤収や避難を判断する場面です(このサイトの考え)。雷の目安は「雷から身を守る」へ。
考えてみよう
- あなたが計画するキャンプの 2 日目に、グループがぶつかり合い始めたら、どんなプログラムを入れますか。
- 雨の日のプログラムを 1 つ考え、実施をやめて避難を判断する基準も書いてみましょう。
このサイトの関連する記事
ふだんは
家族や仲間のキャンプでも、出会いの日は短いゲーム、慣れてきたら協力する活動、と順番を考えて組み立てます。
もしもの時は
雨や夜、電気のない時間を楽しく過ごす工夫は、避難所や停電の夜に子どもと過ごすときにも役立ちます。
出典と調べた日
- [1] 自然公園法(e-Gov 法令検索) (2026-11-02 に確認)
- [2] 厚生労働省「腸管出血性大腸菌Q&A」(Q34) (2026-11-02 に確認)
- [3] 経済産業省「消費生活用製品安全法PSCマーク制度のページ」 (2026-11-02 に確認)
- [4] 国土交通省「レーザー照射や凧揚げの規制について」 (2026-11-02 に確認)