実技7 水辺・雪上の活動とキャンプファイアー

このページは「キャンプ指導の基礎」の一部です。キャンプ指導の一般的な知識をまとめたもので、特定の資格講習の公式教材ではありません。本文の[番号]は、ページの下の「出典と調べた日」の番号です。

水辺の活動の安全(ライフジャケット、増水のサイン、溺れた人を見たとき)、雪の上の活動の安全(低体温症、雪洞の一酸化炭素、雪崩)、キャンプファイアーの組み立て方と、火の安全・消防署への届出を学びます。

このページで学ぶこと

  • カヌーとカヤックの違いと、ライフジャケットの正しい着け方
  • 川の増水のサインと、溺れた人を見たときの行動
  • 雪洞・イグルーで火を使わない理由
  • キャンプファイアーの 3 部の組み立て、片づけ方、消防署への届出

水辺の活動

川遊び、カヌー・カヤック、沢登り、磯遊び、シュノーケリングなど、水辺の活動はキャンプの大きな魅力です。海上保安庁は、シングルパドル(単刃の櫂)で漕ぐカヌーにはカナディアンカヌーなどがあり、ダブルパドル(双刃の櫂)を使うカヌーを全般的に「カヤック」と呼ぶ、と説明しています[1]。

水辺の安全の基本

  • ライフジャケット:消費者庁は、体格に合ったものを選び、ベルトや股ひもを緩みがないようにしっかり締め、肩の部分を持ち上げてもずり上がらないことを確かめるよう呼びかけています。正しく着られていないと、口が水面の上に出ない場合があることも示されています[2]。
  • 2 人組で見合う:2 人 1 組で互いを確かめ、指導者の合図で定期的に組ごとの点呼をとる。監視の指導者は、活動の指導者とは別に、全体を見渡せる位置に置く(このサイトからの提案)。
  • 増水のサイン:国土交通省の東北地方整備局 仙台河川国道事務所は、大雨注意報・警報が出たとき、上流の空に黒い雲や積乱雲が見えたとき、雷の音や光が見えたとき、急に水かさが増えて水がにごってきたとき、急に落ち葉や流木・ごみが流れてきたとき、ダムの放流のサイレンが聞こえたときは、すぐに川から離れるよう呼びかけています[3]。
  • 体の冷え:水温が低いと体力は急速に奪われます。唇の色や震えをこまめに見て、早めに上がらせて保温します(このサイトからの提案)。

溺れている人を見たら:海上保安庁は、118 番(海上保安庁)、110 番(警察)、119 番(消防)に救助を求めること、大きめのペットボトル、ビーチボール、クーラーボックスなども浮力の確保に使えることを紹介しています[4]。ペットボトルは、水や砂を少し入れてキャップを閉めると投げやすくなります[4]。指導者が泳いで助けに行くのは、最後の手段です(このサイトの考え)。川の注意は「川遊びの水難を防ぐ」、浮いて待つ技術は「浮いて待て」へ。

雪の上の活動

雪のブロックを積んで作るイグルー、雪洞泊、かんじき(スノーシュー)のハイク、歩くスキー、雪の灯篭づくり、そり遊びなどがあります。

  • 低体温症と凍傷:濡れた手袋や靴下はすぐに替え、重ね着で汗をかきすぎないように調整し、指先・耳・頬の色と感覚をこまめに確かめる。
  • 雪洞・イグルーの中の一酸化炭素:雪洞やイグルーは空気が入れ替わりにくく、こんろ・ろうそく・炭を使うと一酸化炭素がたまります。中では原則として火を使わず、炊事は入口の外の風を避けられる場所で行います(このサイトの考え)。NITE は、テントの中でたき火をした実験で約 9 分で一酸化炭素が危険な濃度に達したこと、テントの外で使っていても条件しだいでテントの中に燃えた空気がたまることがあることを示しています[5]。
  • 崩れ:気温が上がると、雪のブロックや雪洞の天井が崩れやすくなります。崩れかけたものは壊して片づけます。
  • そり:コースの下に障害物・道路・川・崖がないかを確かめ、一人ずつ滑らせ、滑り終わったらすぐにコースから出る。
  • 雪崩と雪庇:日本雪崩ネットワークは、雪庇の下の斜面は雪がたまりやすく、雪崩が起きやすい場所になり、崩落の危険も常にあると説明しています[6]。斜面の下や雪庇の下では活動せず、雪崩の危険がある地形での活動は、専門の知識と装備をもつ指導者のもとで行います。

(とくに出典を示していない項目は、このサイトからの提案です。)冷えへの手当は「実技9 応急手当と一次救命処置」へ。

キャンプファイアー

キャンプファイアーは、火を囲んで仲間と心を通わせる行事です。一般に 3 つの部で組み立てます。国立夜須高原青少年自然の家の実施要領の例では、第 1 部(火を迎える儀式)15 分、第 2 部(親睦のつどい)55 分、第 3 部(火を送る儀式)20 分です[7]。

部中身の例雰囲気
火を迎える儀式入場、開会の言葉、点火、歌、営火長の話静か・厳か
親睦のつどいゲーム、歌、班の出し物(スタンツ)にぎやか
火を送る儀式静かに火を見つめるふりかえり、営火長から各班への分火、結びの言葉、退場静か

炎は点火から盛り上がりにかけて大きくなり、終わりに向かって小さくなります。プログラムの流れを、炎の変化に合わせて組み立てるのが基本です。初日のファイアーは親睦と指導者の紹介を中心に儀式を簡単に、最終夜はふりかえりと別れに向けて儀式の比重を大きくする、と時期と目的で中身を変えます。参加者が受け持つ部分(点火の役、出し物、ふりかえりの言葉)を増やすと、ファイアーが「見せてもらうもの」から「自分たちでつくるもの」に変わります(このサイトの考え)。

まきの組み方とトーチ

神奈川県は、太いまきを 2 本ずつ交互に積み上げる井桁(いげた)型が一般的だとしています[8]。中に細いまきを円すい形(ティーピー型)に立てて組み合わせると、火が付きやすく、長く安定して燃えます(このサイトの考え)。同じ要領では、トーチは長さ約 70 cm 程度の棒の先に約 15 cm の長さに布を巻き付け、灯油を染み込ませておきます[7]。

火の安全と届出

  • トーチの燃料にガソリンを使わない:ガソリンは爆発的に燃えるため、トーチには使いません(このサイトの考え)。神奈川県は、トーチ棒を腕を伸ばして 30 度程度に傾けて持ち、先端を下に向けると手元に火が上がって危険だとしています[8]。
  • 消火の用意と、片づけ方:消火用に水を入れたバケツを必ず置き、風向きを考えて参加者の位置を決めます[8]。一方で、耐火レンガや敷石の上で燃やしている場合は、水をかけるとレンガや石が割れたり高温の蒸気が出たりして危険なため、水をかけることを禁止している施設もあります[8]。片づけ方は施設によって違うので、必ず事前に確かめます[8]。
  • 消防署への届出:多くの市町村の火災予防条例では、「火災とまぎらわしい煙又は火炎を発するおそれのある行為」をするときに、消防署への届出を求めています。たとえば福岡市は、たき火やキャンプファイヤーなどで木くずなどを燃やすときは、行為の 3 日前までに消防署へ届け出るよう案内しています(届出は消防が状況を知るためのもので、行為を許可するものではないとしています)[9]。キャンプ場の外や学校の校庭などで行うときは、その市町村の消防本部に確かめます(このサイトからの提案)。
  • 国立公園の特別保護地区では、たき火にも許可が要ります(自然公園法 第 21 条)[10]。

たき火全般の注意は「たき火と山火事」へ。

考えてみよう

  1. 川で活動中に、上流の空に積乱雲が見えました。指導者として何をしますか。
  2. 最終夜のキャンプファイアーで、参加者が受け持てる部分を 3 つ考えてみましょう。

このサイトの関連する記事

ふだんは

キャンプでは、ライフジャケットの股ひもまで確かめ、火の片づけ方を施設に聞いてから火をおこします。

もしもの時は

浮く物を投げて助ける、閉め切った場所で火を使わない、という判断は、水害や冬の停電のときにもそのまま使えます。

出典と調べた日

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