実技2 テントと野外炊事
このページは「キャンプ指導の基礎」の一部です。キャンプ指導の一般的な知識をまとめたもので、特定の資格講習の公式教材ではありません。本文の[番号]は、ページの下の「出典と調べた日」の番号です。
ドーム型テントの設営と撤収のポイント、子どもに野外炊事を教える流れ、食中毒の予防(ウエルシュ菌を含む)と、2026 年 4 月から 9 品目になった食物アレルギーの特定原材料、牛乳パックやダッチオーブンを使った料理を学びます。
このページで学ぶこと
- テントの設営の手順と、子どもに教えるときの問いかけ
- 野外炊事を教える流れと、役割を固定しない工夫
- 食中毒予防の 3 原則と、大鍋の料理の冷まし方
- 食物アレルギーの特定原材料 9 品目と、炊事での工夫
テントの設営と撤収
テントを張る前に、場所を選ぶことがいちばん大切です。平らで水はけがよいか、河原・中州・沢の出口ではないか、崖や急斜面の下ではないか、枯れ枝の下ではないか、炊事場やトイレまでの道は夜も安全か、風向きと入口の向きはどうか、を確かめます。理由と出典は「テントを張る場所の選び方と設営・撤収」にまとめました。
ドーム型テントの設営の流れと、子どもに教えるときのポイントです(このサイトからの提案)。
- 部品をそろえる:本体・フライシート・ポール・ペグ・張り綱がそろっているかを確かめ、入口の向きを決め、地面の小石や枝を取り除く。
- ポールを組む:つなぎ目は根元までしっかり差し込む。浅いとポールが割れる原因になる。
- 本体を立てる:ポールを本体の正しい位置(スリーブやフック)に通して立ち上げる。
- フライシートをかぶせる:入口の位置を本体と合わせ、本体との間にすき間ができるよう、しわを寄せずに張る。すき間がないと、結露した水が本体に伝わって中が濡れる。
- ペグと張り綱:ペグは張り綱に対して 90 度になる角度で打ち込み(打ち込みすぎると抜けなくなる)、張り綱は自在金具か自在結び(ロープの基本の結び方)で張り具合を整える。
- 収納袋をまとめる:袋をなくすと片づけられなくなる。
- 一周して確かめる:張り綱のたるみやペグの浮きを見る。張り綱は暗くなると見えにくく、つまずきの原因になるので、夜も位置を確かめさせる。
指導者が手を出しすぎず、「ポールが曲がる向き」「ペグの角度」「フライと本体のすき間」を、なぜそうするのか問いかけながら進めると、子どもが自分で考えて動くようになります。
撤収:夜露や雨で濡れたテントは、できるだけ日の当たる場所で乾かしてからしまいます。メーカーのモンベルは、汚れや水分が付いたまま長く保管するとコーティングの劣化が早まり、カビの原因にもなるとしています[1]。乾かせなかったときは、家に帰ってすぐに広げて乾かします。ペグの数を数え、泥を落としてからしまいます。
子どもに野外炊事を教える流れ
- 始める前に:今日の献立、刃物と火の注意、軍手を着ける約束、火の周りと包丁を使う場所ではふざけない約束、服装、目標の時間を伝える。
- 材料と道具を確かめる:何をどれだけ使い、どの道具で作るか。まきはどれくらいあるか。
- 段取りと役割を決める:かまどに鍋がいくつ置けるか、どの順に火にかけるか。下ごしらえが済んでからかまどに火をつけると、まきが無駄にならない。
- こまめに指示する:作業の途中で手が空く子が必ず出る。指導者が段取りを分かっていて、次の作業を渡せるようにする。
- 盛り付けは早めに:盛り付けと並行して使い終わった道具を洗う係を作ると、片づけも早い。ご飯を炊いた鍋は空になったら早めに水を張る。
- 食べながらふりかえる:料理や炊事のことを話題にする。
- 最後に数を確かめる:貸した道具と食器がそろっているか。
(このリストは、このサイトからの提案です。)性別で係を決めず、火の番も包丁も、いろいろな仕事を交代で全員が経験できるようにするのが、野外炊事のねらいです。
本部で食事をまとめて作るときは、配る時間も見込んで時刻どおりに仕上げ、汁物はおかわりの分を見込みます。ご飯を弁当の容器に詰めるときは、冷めてからふたをします(温かいままだと蒸気がこもって傷みやすくなるため。このサイトからの提案)。
食中毒とアレルギーへの備え
厚生労働省は、細菌による食中毒を防ぐ 3 原則として、菌を食べ物に「つけない」、付いた菌を「増やさない」、菌を「やっつける」を挙げています[2]。野外炊事では、次の点がとくに大切です。
- 生の肉や魚を切った包丁やまな板は、洗ってから熱湯をかけたのち使う。肉用・魚用・野菜用を分けるとさらに安全[3]。
- 肉は中心まで十分に加熱する。めやすは中心部の温度が 75℃で 1 分間以上[3]。
- カレーやシチューなど大量に作ってそのまま室温で冷ました料理で、ウエルシュ菌の食中毒が起きています。この菌は熱に強い芽胞を作ります[4]。加熱した料理を冷やすときは、小分けにするなどしてすばやく冷やし、室温に長く置かないようにします[5]。食べきれる量を作るのがいちばんです。
食物アレルギー:食品表示で表示が義務づけられている「特定原材料」は、えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生の 9 品目です[6]。カシューナッツは 2026 年 4 月 1 日に追加され、2 年間の経過措置期間があります[7]。消費者庁は、原材料に使っていなくても、製造の工程の問題などで混入(コンタミネーション)が起こることがあるとしています[6]。キャンプの炊事では、申込書や健康調査票で原因の食物と症状、エピペンの有無を前もって把握し、アレルギーのある子の分を先に取り分ける、専用の道具を使うなどの工夫をします(このサイトからの提案)。炊き出しの段取りは「炊き出しの段取り」、症状が出たときは「実技9 応急手当と一次救命処置」へ。
キャンプで役立つ料理
牛乳パックで作るおやつ
牛乳パックは水もれを防ぐ加工がされた紙で、よく燃えます。まきの用意が難しいときや、幼い子と一緒のときでも、火をつけるだけである程度の火力が続きます(このサイトの考え)。アルミホイルを 2 枚重ねて包んだホットドッグ(パンにキャベツ・チーズ・ウインナーをはさむ)を 1 つのパックに入れて燃やすと、燃え尽きるころに焼き上がります。
- 飲み終わったパックはすすいで乾かしておく。
- パックは 1 つずつ燃やす(重ねると火力が強すぎて焦げる)。一時的に炎が大きくなるので注意。
- 燃える物のない地面やかまどの上で、消火用の水を用意し、軍手と火ばさみを使う。
- 幼い子と行うときは、点火と出し入れは指導者が行い、子どもは火から離れて見守る。
ダッチオーブン
鋳鉄の厚い鍋で、ふたの上にも炭を置いて上下から加熱できます。鶏肉に塩・こしょうをし、皮付きのじゃがいも・にんじん、丸ごとの玉ねぎ、にんにくと一緒にふたをして焼くだけで、ごちそうになります。鶏肉は中心まで十分に火を通します。熱いうちに冷たい水を入れると割れることがあるので、冷ましてから片づけ、火にかけて水分を飛ばし、薄く油を塗ってしまいます。とても重く、ふたの上の炭は高温なので、ふたの開け閉めは専用の道具と革手袋で行い、子どもが近づける範囲を決めます(このサイトからの提案)。
定番の 4 つの食材で献立を広げる
にんじん、玉ねぎ、じゃがいも、豚肉の 4 つを基本にすると、加える調味料を変えるだけで、カレー、ハヤシライス、豚汁、けんちん汁、ポトフ、ポークビーンズ、肉じゃがと献立が広がり、材料の買い出しと管理も簡単になります(このサイトからの提案)。
考えてみよう
- 野外炊事で、手が空いた子に渡せる仕事を 5 つ考えてみましょう。
- アレルギーのある子がいる班の炊事で、どんな手順を決めておきますか。
このサイトの関連する記事
ふだんは
キャンプの炊事では、下ごしらえを先に済ませ、肉は中心まで火を通し、作りすぎた料理を室温に置きっぱなしにしません。
もしもの時は
停電や断水のときも、カセットこんろで同じ衛生の決まりを守って調理でき、テントは庭や避難先での寝場所になります。
出典と調べた日
- [1] モンベル カスタマーサービス「テント・タープのお手入れ方法」 (2026-11-02 に確認)
- [2] 厚生労働省「家庭での食中毒予防」 (2026-11-02 に確認)
- [3] 厚生労働省「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」 (2026-11-02 に確認)
- [4] 厚生労働省 広報誌「厚生労働」2024年7月号「食事にひそむキケン」 (2026-11-02 に確認)
- [5] 厚生労働省 広報誌「厚生労働」(2018年7月号) (2026-11-02 に確認)
- [6] 消費者庁「アレルギー表示について」(令和8年4月・PDF) (2026-11-02 に確認)
- [7] 消費者庁 事務連絡(令和8年4月1日・特定原材料へのカシューナッツの追加・PDF) (2026-11-02 に確認)