火起こしの基本|火種・火口・付木・焚付け・薪の順に、空気の通り道をつくる

火を起こす技術は、キャンプの楽しみであり、停電や災害のときに暖をとり、湯を沸かす力にもなります。うまくいかない原因の多くは、道具ではなく順番と空気にあります。この記事では、国立や市の青少年教育施設の資料と、消防・林野庁の資料をもとに、火起こしの基本と、始める前と消すときの決まりをまとめます。

火が燃える 3 つの条件

東京消防庁は、物が燃えるには「可燃物」「酸素」「熱」の 3 つの条件が必要で、これを燃焼の三要素と呼ぶと説明しています。どれか 1 つでも取り除ければ、燃焼は止まります。火起こしは、この 3 つを順番にそろえる作業です。

消防庁の消防研究センターによると、火を点ける源(着火源)には、熱源や火気のほかに、電気、静電気、衝撃火花、太陽光(鏡・レンズ)、雷など、さまざまなものがあります。キャンプで使う火花の道具も、この「衝撃火花」の仲間です。

小さな火を、5 つの段階で大きくする

国立吉備青少年自然の家の資料「焚き火(たきび)の仕方」は、火が大きくなるまでの材料を、次の段階に分けて説明しています。

段階例役割と注意
火種(ひだね)金属と石を打ち合わせた火花、木と木をこすり合わせて出た高熱の木くず・木の粉摩擦で出た木の粉は真っ黒で火が点いているように見えないが、高熱なので直接さわらない
火口(ほくち)麻ひもをほぐして綿のように丸めたもの、ガマの穂、ススキの穂、消し炭など火種を乗せて軽く包み、そっと息を吹きかけると赤く光り、やがて火が出る
付木(つけぎ)割りばし、ごく細い枝、鉛筆の太さに丸めた新聞紙小さな火を焚付けに移す。マッチは、点くと同時にそれ自体が付木になる
焚付け(たきつけ)新聞紙や小枝など、火の付きがよいもの重さに対して表面積が大きいほど、空気をたくさん取り込める。ぎゅうぎゅうに詰めると燃えにくい
薪(まき)太い薪火は付きにくいが、火持ちがよく火力も強い

同じ資料は、太い薪にいきなりマッチの火を近づけてもすぐには燃えないので、紙やごく細い枝など燃えやすいものから順序よく燃やすこと、細いものから太いものへ順々に燃えるよう、焚付けや薪をあらかじめ組み上げておくことを求めています。燃えやすいものとは、重さや量の割に面積が広く、たくさんの酸素に触れやすい形の物だとも書いています。

組み方と点け方

千葉市少年自然の家のかまどでの手順は、次のとおりです。

  1. なるべく細い薪を選び、かまどの中で 4〜6 本を組む。細い薪が無ければ、薪割り台で薪を細くする。木の皮も火が付きやすい。
  2. 組んだ薪の下に空気が入るように、互い違いに組む。
  3. マッチかライターで新聞紙に火を付け、木に火が付くのを待つ。
  4. 火を付けたら、むやみにあおいだり吹いたりしない。
  5. 火が付いたら、少しずつ太い薪をくべる。細い薪ばかりでは強い火力が得られない。

吉備の資料も、薪と薪の間をしっかり空けてつねに新しい空気を取り込むこと、風の通り道を意識して組むことが大切だとしています。調理に使う場合は、点火のタイミングを必ず食材の準備ができたときに合わせるよう求めています。

マッチ・ライター・火花の道具(このサイトの説明)

ここからは、上の資料の考え方をもとにした、このサイトの説明です。

  • マッチとライター:いちばん確実な方法です。マッチは湿気に弱いので、密閉できる袋に入れて持ちます。ライターは寒さで火が付きにくくなることがあるので、マッチと両方持つと安心です。
  • 火花を飛ばす道具(メタルマッチ・ファイヤースターターなどと呼ばれるもの):火花は「火種」の段階にあたります。火花だけでは小枝にも火は移らないので、ほぐした麻ひもなど、細かく軽い「火口」に向けて飛ばし、そこから付木・焚付けへ移します。使い方は製品の説明に従います。
  • 削って作る焚付け(フェザースティック):乾いた木を、ナイフで薄く羽のように削り出したものです。重さに対して表面積の大きい焚付けを、その場で作る方法です。刃は体の外へ向けて動かし、周りに人がいないことを確かめます。刃物の扱いは講座の「実技3 刃物と燃焼器具」、持ち歩きの決まりは「キャンプの刃物と法律」へ。
  • 雨のあと:地面に落ちた枝は湿っています。乾いた焚付けや火口を、袋に入れて家から持っていくのが確実です。千葉市少年自然の家の資料にあるとおり、木の皮も火が付きやすい材料です。

服装は、火の粉でやけどをする危険があるので、綿の長袖・長ズボンで行うよう千葉市少年自然の家は案内しています。化学繊維は火の粉で穴があいたり溶けたりすることがあります(このサイトの考え)。

始める前に確かめること

  • その場所で火を使ってよいか:キャンプ場の決まり(直火の可否、たき火台の使用)に従います。キャンプ場の外で火を使えるかどうかは「ブッシュクラフトはどこでできるか」にまとめています。
  • 乾燥と風:林野庁は、林野火災注意報・林野火災警報が出ているときなど、乾燥や強風のときは屋外で火を使わないこと、枯れ草などのある火災が起こりやすい場所ではたき火をしないことを求めています。注意報・警報のしくみは「たき火と山火事」へ。
  • 届出:消防庁によると、市町村の火災予防条例で、たき火など屋外での火の取り扱いに消防機関への届出が必要な場合があります。
  • 消火用の水:消防庁は、消火用の水を準備するよう求めています。バケツ 1 杯の水を、火を点ける前にそばに置いておきます(このサイトからの提案)。
  • 子どもとライター:東京消防庁は、ライターなどは子どもの目に触れず手の届かない場所で管理し、子どもが簡単に操作できないチャイルド・レジスタンス・ライター(CR ライター)を使うよう呼びかけています。子どもに火起こしを教えるときは、大人がそばについて、終わったら道具を大人が預かります(このサイトからの提案)。

消すまでが火起こし

林野庁は、たき火などの火を使っている間はその場を離れず、使ったあとは完全に消すよう求めています。完全に消す手順は、米国の資料が具体的なので紹介します。

  • 米国森林局のスモーキーベアは、「Drown, Stir, Drown, Feel」(水をかける、かき混ぜる、また水をかける、さわって確かめる)を掲げています。じゅうじゅうという音が止まるまで水をたっぷりかけ、土や砂だけで消さないこと、最後に手の甲を灰の上にかざして冷たくなったことを確かめてから離れることを求めています。
  • 米国の国立公園局のある公園は、火を埋めないよう注意しています。埋めた火はくすぶり続け、木の根に火が移って、やがて地表に出て山火事になることがあるからです。

ただし、かまどや炉の造りによっては水をかけると割れるものがあり、千葉市少年自然の家は、かまどに水を掛けて掃除するとレンガが割れるので絶対に行わないよう案内しています。施設の決まりがあるときは、それに従います。

テントや車の中では火を使いません。詳しくは「テントや車の中で火を使わない」へ。

ふだんは

キャンプ場で、細い物から太い物へ組んで、マッチ 1 本で火を育てる練習をしてみましょう。

もしもの時は

停電や断水のときに屋外で湯を沸かす力になります。乾いた焚付けとマッチを、防災用品と一緒に袋に入れておきましょう。

出典と調べた日

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