山と野外のトイレ|携帯トイレを持ち、使い、持ち帰る(屋久島・大雪山・尾瀬の例)
山や野外で困ることの上位に、トイレがあります。山の中のトイレは数が少なく、くみ取ったし尿を人が背負って下ろしたり、ヘリコプターで運び出したりしているところもあります。そのため、国立公園の山では携帯トイレを持ち、使い、持ち帰ることが呼びかけられています。この記事では、環境省と国立公園の資料から、山と野外のトイレの作法をまとめます。
山のトイレの事情
- 屋久島:屋久島世界遺産センターによると、屋久島の山のトイレは設置場所が限られ、し尿は人力で運び出されています。運び出す量は 1 日 20〜40 kg です。し尿の運び出しなどの維持管理に費用がかかること、利用者が集中して待ち時間が長くなることも、携帯トイレを勧める理由に挙げています。
- 大雪山:環境省の北海道環境局は、北海道の山の中にはほとんどトイレが無く、大雪山国立公園も同じだとしています。山中のトイレはポンプでくみ取ってヘリコプターで下ろすなどしており、ごみを捨てるとポンプが壊れる原因になります。
- 尾瀬:環境省は、尾瀬のトイレはチップ制で、環境を守るために多くの費用がかかるので、1 回 100 円程度の協力金をお願いしています。
基本の順番
- 登山口で済ませる:北海道環境局は、ほとんどの登山口に公衆トイレや簡易トイレがあるので、登山の前にトイレを済ませるよう呼びかけています。
- 山中のトイレがあれば使う:避難小屋などのトイレがあれば利用します。トイレにごみは捨てず、使った紙も持ち帰るよう求めています(北海道環境局)。
- トイレが無いところでは、携帯トイレ:携帯トイレを持ち、使い、持ち帰ります。
携帯トイレの使い方
屋久島世界遺産センターが案内する、携帯トイレブースでの手順です。
- 携帯トイレを広げて便座にセットし、洋式トイレと同じように用を足す。男性の小も座って行う。
- 使い終わったら便座から外し、口をしっかり結ぶ。
- 防臭袋に入れて、しっかり持ち帰る。
- 登山口に置かれた回収箱に、大・小の分別に従って捨てる。里まで持ち帰った場合は、燃えるごみとして捨てる。
ブースの便座には必ず携帯トイレをセットして使い、便座に直接しないこと、携帯トイレを持っていない人はブースを使えないこと、使い終わった携帯トイレをブースに置いていかないことも求めています。家に持ち帰ったときの捨て方は、住んでいる自治体の分別に従います(このサイトからの提案)。
ブースが無いところでは
北海道環境局は、携帯トイレブースが無いところでは、ポンチョや傘で隠したり、仲間に一時的に通行止めにしてもらったりする方法を提案しています。そして、身を隠すために登山道を外れて植生に分け入ってはいけないとしています。高山の植物は踏まれると戻りにくく、道を外れることは道迷いや滑落の危険にもつながります(このサイトの考え)。
持つ人は増えている
北海道環境局が、大雪山国立公園の東大雪地域の登山口に置かれた入林簿を集計したところ(2024 年 1 月の記事。前の年の集計)、携帯トイレを持っている人の割合は全体の平均で 70% で、その前の年の 65% から 5 ポイント上がりました。日帰りで初級・中級向けの山では 60% 前後と低く、登山時間の長い山では 90% 前後と高い傾向でした。トムラウシ山の南沼に泊まる予定で入林した 330 人では、携帯トイレを持っていた人が 99% でした。
日帰りの低い山ほど持っていく人が少ない、という結果です。日帰りでも、1〜2 個を持ち物に入れておきましょう(このサイトからの提案)。
持っていく物(このサイトからの提案)
- 携帯トイレ(凝固剤入り)を、日帰りでも 1〜2 個。泊まりなら日数ぶん
- 防臭袋と、持ち帰り用の袋
- トイレットペーパー(使った紙も持ち帰る)
- 目隠しになるポンチョや傘、レインウェア
- 手を清潔にするウェットティッシュやアルコール
同じ携帯トイレは、断水や停電でトイレが使えない災害のときにも役立ちます。家族の人数から必要な数を出すには「携帯トイレの数の計算」、災害時の使い方は「災害時のトイレの備え」へ。
穴を掘って埋めるのは?
米国の国立公園局は、トイレが使えないときの方法として、水場・キャンプ地・道から十分に離れた場所に浅い穴を掘って埋める方法を案内しています(英語版で詳しく紹介しています)。一方、今回調べた日本の国立公園の資料は、埋める方法ではなく、携帯トイレで持ち帰ることを求めていました。日本の人の多い山では、携帯トイレで持ち帰ることを基本にしましょう(このサイトの考え)。
登山の持ち物は「日帰りの登山でも持つもの」、ブッシュクラフトや野営の決まりは「ブッシュクラフトはどこでできるか」にまとめています。英語版の記事:Going to the bathroom outdoors: catholes, pack-out bags and Japan's portable toilets。
ふだんは
日帰りの山でも、携帯トイレを 1〜2 個、防臭袋と一緒に持ち物に入れておきましょう。
もしもの時は
同じ携帯トイレは、断水や停電でトイレが使えない災害のときにもそのまま使えます。
出典と調べた日
- 屋久島世界遺産センター「トイレの利用」 (2026-11-06 に確認)
- 環境省 北海道環境局「山登りには携帯トイレを持ちましょう。」(2024年1月5日) (2026-11-06 に確認)
- 環境省「利用上のマナー|尾瀬国立公園」 (2026-11-06 に確認)
- 米国国立公園局 “Leave No Trace Seven Principles” (2026-11-06 に確認)