被災後の片付けと消毒、災害ごみ、悪質業者|消毒より先に清掃と乾燥、「保険で直せる」勧誘はその場で決めない
水が引き、揺れが収まったあとの片付けには、けが・感染症・熱中症・悪質業者という、別の危険があります。この記事では、厚生労働省、国立健康危機管理研究機構(JIHS)、環境省の地方環境事務所、国民生活センター、消費者庁、警察庁の資料から、片付けで気をつけることをまとめます。
片付けを始める前に、家の被害を写真に撮っておくのが先です。詳しくは「罹災証明書と被災後の最初の手続き」へ。
服装とけが
厚生労働省は、片付けの作業では、丈夫な手袋や底の厚い靴を履き、長袖など肌の見えない服を着て、ゴーグルとマスクを着け、作業のあとは手を洗うよう呼びかけています。特に深い傷や汚れた傷は破傷風になる場合があるので、医師に相談するよう求めています。
JIHS によると、破傷風の潜伏期間は 3〜21 日(平均 10 日)です。破傷風のワクチンは、最後の接種から 10 年以上たっていれば、1 回の追加接種が勧められています。片付けの前に、自分の接種歴を確かめておきましょう(このサイトからの提案)。
浸水した家の消毒は「清掃と乾燥」が先
厚生労働省は、感染症予防には清掃と乾燥が最も重要で、清掃が不十分だと消毒の効果が出ないとしています。きちんと乾燥させれば、基本的に細菌やカビの繁殖は抑えられます。屋外(床下や庭)の消毒は原則不要です。
- 泥などの汚れを洗い流すか、雑巾で水拭きする。
- 十分に乾燥させる。
- 汚染がひどい場合や長く浸水していた場合は、消毒液で拭く。
| 消毒するもの | 家庭用の塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)の濃さ |
|---|---|
| 食器類・流し台・浴槽 | 0.02% に薄める |
| 家具類・床 | 0.1% に薄める |
(厚生労働省「浸水した家屋の感染症対策」)。色あせや腐食で塩素系が使えない場合は、消毒用アルコール(濃度 70% 以上。火の気のあるところでは使わない)などを使います。薄め方は製品の表示に従い、ほかの洗剤と混ぜないようにします(このサイトからの提案)。
床下にまかれることのある消石灰については、厚生労働省は素手で触ったり目に入れたりしないよう注意し、目に入ったら失明のおそれがあるので、すぐに大量の水で洗い流して医療機関を受診するよう求めています。
熱中症を防ぐ
暑い時期の片付けについて、国の資料は、できるだけ 2 人以上で作業して互いの体調を確かめること、休憩・水分・塩分の補給を一定時間ごとにとること、暑い時間帯の作業を避けること、作業の前に体調を確かめ、悪ければ作業しないことを求めています(内閣府・消防庁・厚生労働省・環境省の事務連絡「災害時の熱中症予防」)。
災害ごみの出し方
災害ごみの出し方は、災害の状況に応じて市町村がホームページなどで知らせます。環境省近畿地方環境事務所が作成を支援した市のガイドブックには、次のような注意があります。
- 災害ごみは、道路やごみステーションに置かず、市町村が設ける仮置場に運ぶ(車の通行の妨げになる)。
- 仮置場では、種類ごとに決められた場所に置く。
- 畳などの燃えるごみを高く積み上げて長く置くと、火災が起きて大変危険。
- 指定された場所以外に出さない。災害と関係のないごみを出さない。
家の前に出してよいか、分別をどうするかは、住んでいる市町村の案内に従います(このサイトからの提案)。
悪質業者と詐欺
政府広報オンラインは、災害のあとは修復作業の請負いを装う詐欺が起きやすいと注意しています。国民生活センターによると、災害に便乗した悪質商法が多数発生しており、最近は「火災保険を使って自己負担なく住宅の修理ができる」など、「保険金が使える」と勧誘する手口の相談が寄せられています。
- 契約を迫られても、その場で決めない。できれば複数社から見積もりを取って比べる(国民生活センター)。
- 「保険金を使って自己負担なく修理できる」と勧誘されたら、すぐに契約せず、加入先の保険会社や代理店に相談する。うその理由で保険金を請求することは絶対にしない(国民生活センター)。
- 訪問販売の契約は、契約書面を受け取った日から 8 日以内なら、クーリング・オフで契約を解除できます(消費者庁)。
- 公的機関が、電話などで義援金を求めることはありません(国民生活センター)。
- 困ったら、消費者ホットライン 188(最寄りの消費生活センターなどを案内)。警察の相談は #9110。
国民生活センターによると、屋根工事の点検商法の相談は、2022 年度に 2018 年度の約 3 倍になり、契約した人の 8 割超が 60 歳以上でした。離れて暮らす高齢の家族にも、伝えておきましょう(このサイトからの提案)。
避難中の家と貴重品
警察庁は、避難するときは貴重品を置いたままにせず、できる限り持ち歩くよう呼びかけています。避難先がホテルや旅館の場合は、外出時に必ず鍵をかけ、施設の管理者に貴重品の保管場所を確かめるよう求めています。
使える支援制度は「被災者生活再建支援金と、被災後に使える主な支援」、家庭でできる防犯は「住まいの防犯」へ。
ふだんは
破傷風の予防接種の時期を確かめ、軍手ではなく丈夫な手袋と、底の厚い長靴を備えておきましょう。
もしもの時は
片付けは写真を撮ってから。汚れを落として乾かすのが先、消毒はそのあと。修理の勧誘には、その場で契約しないこと。
出典と調べた日
- 厚生労働省「浸水した家屋の感染症対策」(PDF) (2026-11-06 に確認)
- 厚生労働省 事務連絡(令和元年10月19日)浸水した家屋の感染症対策(PDF) (2026-11-06 に確認)
- 厚生労働省 事務連絡(令和6年1月1日)(PDF) (2026-11-06 に確認)
- 厚生労働省「清掃作業をされる方へ」(PDF) (2026-11-06 に確認)
- 国立健康危機管理研究機構「破傷風」 (2026-11-06 に確認)
- 国立健康危機管理研究機構「破傷風とは」(詳細) (2026-11-06 に確認)
- 内閣府・消防庁・厚生労働省・環境省 事務連絡「災害時の熱中症予防」(令和7年4月1日・PDF) (2026-11-06 に確認)
- 環境省近畿地方環境事務所 災害廃棄物の市民向けガイドブック(京田辺市版・PDF) (2026-11-06 に確認)
- 政府広報オンライン「住まいが被害を受けたとき 最初にすること」(2025年9月8日) (2026-11-06 に確認)
- 国民生活センター「ご用心 災害に便乗した悪質商法」 (2026-11-06 に確認)
- 国民生活センター「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています」(2023年10月11日) (2026-11-06 に確認)
- 消費者庁 啓発資料「災害に便乗した悪質商法」(PDF) (2026-11-06 に確認)
- 警察庁「令和6年能登半島地震に関する注意喚起」(PDF) (2026-11-06 に確認)