高齢の家族の防災|避難行動要支援者名簿と個別避難計画を市町村に確かめる、福祉避難所、薬とお薬手帳

災害で命を落とす人の多くは高齢者です。消防庁によると、東日本大震災では犠牲者の約 6 割が 65 歳以上の高齢者でした。令和 7 年版の防災白書は、能登半島地震の災害関連死について、年齢が公表されている人の 80 代以上が約 8 割を占め、これまでの災害に比べて高齢者の割合が高いとしています。この記事では、国と東京都の資料から、高齢の家族の防災で確かめたい制度と備えをまとめます。

避難行動要支援者名簿と個別避難計画

  • 平成 25 年の災害対策基本法の改正で、自分で避難することが難しい高齢者や障害者などについて、避難行動要支援者名簿を作ることが市町村の義務になりました。
  • 令和 3 年の改正で、一人ひとりの避難の方法を決める個別避難計画を作ることが市町村の努力義務になりました。

令和 7 年 4 月 1 日現在、個別避難計画を作っている団体は 1,691 団体です。ただし、名簿に載っている人のうち、平時から支援者に名簿の情報が提供されている人の割合は 40.1% でした(内閣府・消防庁の調査)。名簿に載る条件は市町村ごとに違い、内閣府の指針は「要介護 3〜5」などを含む A 市の例を示しているだけです。家族が名簿に載っているか、個別避難計画があるか、市町村の窓口に確かめてみてください(このサイトからの提案)。

福祉避難所

福祉避難所は、高齢者や障害者など、一般の避難所での生活が難しい人のための避難所です。内閣府のガイドライン(令和 3 年 5 月改定)は、指定福祉避難所ごとに受け入れる対象者を決めて公示できるようにしました。受け入れを想定していない人が避難してくることを心配する声に応えたものです。どこが福祉避難所で、誰が入れるかは市町村ごとに違うので、前もって確かめます。

薬と、お薬手帳

  • 東京都は、非常用持ち出し品に、いつも飲む薬、処方箋、入れ歯や老眼鏡、補聴器も入れておこうと呼びかけ、薬は 3 日分、できれば 1 週間分を準備するよう勧めています(入手が難しい場合もあります)。
  • 東京都保健医療局によると、お薬手帳などでいつも飲んでいる薬を確認できれば、処方箋がなくても薬局で薬を渡せる特例が認められることがあります。薬の情報をメモした紙を財布に入れておくのもよいとしています。
  • 厚生労働省の報告によると、東日本大震災では、避難所にお薬手帳を持ってきた人は、すぐにいつもの薬を特定して処方を受けられました。

介護サービスの事業所の備え

厚生労働省によると、すべての介護サービス事業者は、業務継続計画(BCP)の策定と研修・訓練が義務になりました(3 年間の経過措置を経て令和 6 年 4 月から)。令和 7 年度の時点で、ほぼすべての介護事業所などで BCP が作られています。家族は、利用しているデイサービスや施設に、災害のときの連絡方法と、迎えの手順を聞いておくと安心です(このサイトからの提案)。

離れて暮らす家族ができること(このサイトからの提案)

  • 帰省したときに、寝室の家具の固定、住宅用火災警報器、ハザードマップを一緒に見る(「帰省したら実家で見ること」)。
  • 市町村の名簿や個別避難計画、福祉避難所について、家族で窓口に問い合わせる。
  • 大雨や寒波の予報が出たら、自分から電話をかける(「避難が遅れる心の癖」)。

食の備えは「配慮が必要な家族の食の備え」、避難生活の体調は「災害関連死を防ぐ」へ。英語版の記事は「Older adults and disasters」です。

ふだんは

高齢の家族が避難行動要支援者名簿に載っているか、個別避難計画があるか、市町村の窓口に確かめてみましょう。

もしもの時は

大雨や地震のとき、高齢の家族には早めに電話をかけて避難を促します。薬とお薬手帳を持って避難します。

出典と調べた日

誤りを見つけたら、お問い合わせの種類「記事の誤りの連絡」でお知らせください。確かめて直し、更新履歴に記録します。