災害関連死を防ぐ|能登では認定された人の約82%が80歳代以上、約94%に持病、病院・介護施設で多い(内閣府の事例集)

災害関連死は、地震や水害そのものではなく、その後の避難生活などで亡くなることです。令和 6 年能登半島地震では、石川県の資料(令和 8 年 5 月 19 日)によると、死者 715 人のうち 487 人が災害関連死でした。この記事では、内閣府の災害関連死事例集と学会の声明から、誰がどんな状況で亡くなったのか、そして家族でできる備えをまとめます。

災害関連死の定義

内閣府は平成 31 年 4 月に、災害関連死を、災害による負傷の悪化や、避難生活などでの身体的な負担による疾病で亡くなり、災害弔慰金の支給に関する法律に基づいて災害が原因で亡くなったと認められたもの、と定めました。避難生活などの身体的な負担によるものであれば、精神疾患による自殺も含まれます。

能登半島地震の事例集から(令和 8 年 1 月)

内閣府の事例集は、審査された事例のうち、災害関連死と認められた 286 件と、認められなかった 122 件をまとめています。認められた事例の数字は次のとおりです。

項目数字
80 歳代以上234 人(約 82%)
何らかの持病などがあった270 人(約 94%)
発災から 3 か月以内に亡くなった188 人(約 66%)
亡くなる直前にいた場所病院 98 人(約 34%)、介護施設など 84 人(約 29%)
死因循環器系の病気 87 人(約 30%)、呼吸器系の病気 80 人

事例集は、被災のショック、断水、停電、転院、避難所での生活などの事情を挙げていますが、それらが関連死にどの程度影響したかを示すものではないと注意しています。病院や介護施設にいた高齢の人が多いことは、家族だけでなく、施設の備えが大切だということでもあります(このサイトの考え。「高齢の家族の防災」)。

エコノミークラス症候群を防ぐ

平成 16 年の新潟県中越地震でも、エコノミークラス症候群(肺動脈塞栓症)の疑いで亡くなった例があります(内閣府の事例集の資料)。厚生労働省は、予防のために次のことを勧めています。

  • ゆったりとした服装をし、ベルトをきつく締めない。
  • かかとの上げ下ろし運動をしたり、ふくらはぎを軽くもんだりする。
  • 十分にこまめに水分をとる。

日本循環器学会などの声明は、心臓や腎臓が悪くない人の水分の大まかな目安を 1 日 1,000mL 以上とし、1 日 20 分以上歩くこと、血圧の薬などの循環器の薬は必ず続けることを呼びかけています。車中泊のときの注意は「車中泊と避難生活のエコノミークラス症候群を防ぐ」へ。

口の中を清潔に

口腔ケア学会などの資料は、寝ている間にむせることもなく唾液が気管に入り、肺炎を起こすことがあると説明しています。歯ブラシが手に入らないときは、タオルやティッシュで歯の表面をこすって汚れを落とします。熊本地震では、歯科医師会や歯科衛生士会が避難所での口腔ケアにかなり対応できたと振り返っています(内閣府の事例集の資料)。

薬とお薬手帳

熊本県の医師会は、亡くなった人の大半に持病があったことから、日ごろからかかりつけ医との連絡方法などを考えておく必要があるとしています。熊本県の薬剤師会は、避難するときにお薬手帳を持っていくよう呼びかける必要があるとしています。

家族でできる備え(このサイトからの提案)

  • 持病の薬を数日分多めに持ち、お薬手帳(またはその写真)を持ち出し袋に入れる。
  • 離れて暮らす高齢の家族が入院・入所している病院や施設に、災害のときの連絡方法を聞いておく。
  • 避難生活が長くなったら、歩く、水を飲む、歯を磨くを意識して続ける。
  • 寒さの備えは「冬の地震・停電と寒さに備える」へ。

ふだんは

持病の薬を数日分多めにし、お薬手帳の写真をスマートフォンに入れておきましょう。

もしもの時は

避難生活では、ときどき歩き、こまめに水を飲み、歯を磨きます。薬は自己判断でやめず、医師や巡回の医療チームに相談します。

出典と調べた日

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