冬の入浴事故(ヒートショック)を防ぐ|浴槽の死者は年7,776人・約95%が65歳以上、湯は41℃以下で10分まで(消費者庁)

消費者庁によると、厚生労働省の人口動態統計で、浴槽の中や浴槽に落ちておぼれて亡くなった人は、令和 6 年に 7,776 人でした。そのうち 65 歳以上が 7,363 人で、約 95% を占めています。入浴中の事故は毎年 11 月から 4 月にかけて多く起きます(政府広報)。この記事では、消費者庁・政府広報・国土交通省の資料から、冬の入浴事故を防ぐ方法と、浴槽で倒れている人を見つけたときの手順をまとめます。

なぜ起きるのか

消費者庁は、入浴中の事故の原因として、暖かい部屋と寒い脱衣所・浴室の温度差による急な血圧の変動や、熱い湯に長くつかって体温が上がることによる意識障害などを挙げています。政府広報によると、42℃の湯に 10 分つかると体温は 38℃近くまで上がり、意識障害を起こす危険が高まります。高齢者は、食後に血圧が下がりすぎて失神することもあります。

こうした温度差による体への影響は、一般に「ヒートショック」と呼ばれます。消費者庁は、入浴が関係する死亡は、死亡診断書で溺死だけでなく病気による死亡として分類されることもあるため、統計で実態をつかむのは難しいとしています。過去には、入浴中の急死者が約 19,000 人と推計されたこともありました。

入浴の前に

  • 脱衣所と浴室を暖めておく(消費者庁)。政府広報は、浴槽に湯を入れるとき、シャワーから給湯する方法も紹介しています。
  • 食後すぐ、お酒を飲んだあと、薬を飲んだあとの入浴は避ける(消費者庁)。
  • 入る前に、同居する家族に一声かける。家族は、こまめに声をかけて様子を確かめます(消費者庁)。

入浴中は

  • 湯温は 41℃以下、つかる時間は 10 分までを目安に(消費者庁)。
  • 浴槽から急に立ち上がらない(消費者庁)。
  • 浴槽の中で意識がもうろうとしてきたら、気を失う前に湯を抜く(消費者庁)。

住まいの寒さ

国土交通省の調査では、冬の在宅中の脱衣所の平均室温は 12.8℃でした。また、居間か脱衣所の室温が 18℃未満の住宅では、入浴事故の危険が高いとされる熱めの湯に入る人の割合が、はっきり高くなっていました。脱衣所に小さな暖房器具を置く、窓の断熱を見直すなど、住まいの寒さを減らすことも対策になります(このサイトからの提案)。暖房器具の安全な使い方は「ストーブ・暖房器具の火災を防ぐ」へ。

浴槽で倒れている人を見つけたら(政府広報)

  1. 浴槽の栓を抜く。大声で助けを呼び、人を集める。
  2. 浴槽から出せるようなら救出する。出せないときは、ふたに上半身を乗せるなどして沈まないようにする。
  3. すぐに救急車を呼ぶ(119 番)。
  4. 反応と呼吸を確かめ、普段どおりの呼吸がなければ、胸骨圧迫 30 回と人工呼吸 2 回を繰り返す。

胸骨圧迫は、講習で一度体験しておくと、いざというときに体が動きます(「救命講習の探し方」へ)。

天気予報の「ヒートショック予報」

日本気象協会は東京ガスと共同で「ヒートショック予報」を開発し、天気予報サイトの tenki.jp で冬の時期に公開しています。標準的な一戸建ての住宅を想定した目安で、日本気象協会は、住まいの構造や設備、体調によって健康への影響は異なるとしています。公的な警報ではありませんが、家族に声をかけるきっかけに使えます。

離れて暮らす家族へ(このサイトからの提案)

  • 入浴の前後に電話やメッセージで連絡する習慣を作る。
  • 夕食の前、まだ家の中が暖かい時間に入浴する。
  • 脱衣所の暖房や、浴室の手すりを、冬になる前に用意する。

家の中の寒さと低体温症は「低体温症と凍傷」へ。英語版の記事は「Bath safety in Japanese winters」です。

ふだんは

入浴の前に家族に一声かけ、脱衣所を暖めてから入りましょう。湯は41℃以下、つかるのは10分までが目安です。

もしもの時は

浴槽で倒れている人を見つけたら、まず栓を抜き、大声で人を呼びます。出せないときはふたに上半身を乗せて沈まないようにし、119番へ。

出典と調べた日

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