冠水した道路とアンダーパスに入らない|床面を超えたら危険、ドアの半分で開かない、水が引いてもエンジンをかけない

大雨のとき、車は安全な避難手段に見えて、実は水に弱い乗り物です。国土交通省によると、全国には、道路が周りの地面より低い位置で交差する道路や鉄道の下をくぐる「アンダーパス」が約 3,800 か所(令和 7 年 3 月時点)あり、大雨のときは短い時間で水位が急に上がるおそれがあります。令和 8 年には千葉市といわき市で、アンダーパスの冠水による人的被害が起きました。この記事では、国土交通省と JAF(日本自動車連盟)の資料から、冠水した道路と車の危険をまとめます。

どこまでの水なら走れるか

  • 国土交通省は、冠水した道路を走るとき、水深が車の床面を超えるとエンジンや電気装置に不具合が起きるおそれがあるとしています。床面以下でも、速度を出すと巻き上げた水や波が吸気口から入り、エンジンが止まるおそれがあります。
  • JAF も、一般に走れるとされる水深は、乗用車ならドアの下端、つまり床面が浸からない程度だとしています。
  • JAF の実験(2010 年)では、水深 30 cm でも時速 30 km で走ると、巻き上げる水が多くなり、エンジンルームに多量の水が入りました。水深 60 cm では、セダンがしばらく走ったあとエンジンが止まりました。
  • 冠水した道路では路面が見えにくくなります。国土交通省は、水深や道路の端が分からない場所(アンダーパスなど)には入らないよう求め、JAF は、高架下やアンダーパスなど周りより低い場所には絶対に入らず、迂回するよう呼びかけています。

実際の冠水路では、水深も水の中の様子も分かりません。JAF は、冠水した道に出会ったら安易に入らず、迂回を考えるよう求めています。

ドアは水圧で開かなくなる

国土交通省によると、水深がドアの下端にかかると、外の水圧で内側からドアを開けにくくなり、ドアの高さの半分を超えると、内側からほぼ開けられなくなります。タイヤが完全に水に浸かると、車体が浮いて動けなくなるおそれもあります。JAF の実験では、水深 60 cm でセダンの運転席ドアを開けるのに、通常の 5 倍近くの力が要りました(計測器を使った条件)。

閉じ込められたら

  • 窓を割る:車のガラスは脱出用ハンマーで割れます。ただし、フロントガラスと一部のドアガラスは合わせガラスで割れません(国土交通省)。JAF の実験では、ヘッドレスト、小銭を入れた袋、スマートフォン、傘、車のキーでは窓は割れず、割れたのは脱出用ハンマーだけでした。
  • 水位の差が小さくなるのを待つ:車内まで水が入り、内と外の水の高さが同じくらいになると、内側からドアが開くようになります(国土交通省)。ハンマーが無いときは、そのタイミングで、大きく息を吸ってドアを押し開けて脱出します(JAF)。

国土交通省は、緊急脱出ハンマーやシートベルトカッターを、運転者の手が確実に届く場所に用意しておくよう呼びかけています。

水が引いたあとも、エンジンをかけない

国土交通省は、水が引いたあともエンジンをかけず、発火のおそれがあるのでバッテリーのマイナス側の端子を外すよう求めています。電気自動車・プラグインハイブリッド車・ハイブリッド車は高電圧のバッテリーを積んでいるので、自分で対処せず、整備工場などに相談します。JAF も、浸水した車はキーを切っていてもバッテリーがつながっていれば電流が流れている状態だとして、いきなりエンジンをかけないよう注意しています。

ふだんから(このサイトからの提案)

  • 通勤路や買い物の道にあるアンダーパスと、低い道を地図で確かめ、雨の日の迂回路を決めておく。
  • 大雨の予報の日は、車で出かける予定を変える。水が上がってからの車での避難はしない(JAF も、水位が上がってからの車での避難は大変危険だとしています)。
  • 脱出用ハンマーを、運転席から手が届く場所に固定する。

国土交通省は、アンダーパスの予防的な事前の通行規制や、車の進入を防ぐ対策を進めるとしています。通行止めの表示があるところには入らないでください。土砂災害は「土砂災害の前ぶれと避難」、川の増水は「川遊びの水難を防ぐ」へ。

ふだんは

通勤路のアンダーパスと低い道を確かめて雨の日の迂回路を決め、脱出用ハンマーを運転席から手の届く場所に固定しておきましょう。

もしもの時は

冠水した道には入らない。閉じ込められたらハンマーで横の窓を割るか、車内に水が入って内外の水位がそろったところでドアを押し開ける。

出典と調べた日

誤りを見つけたら、お問い合わせの種類「記事の誤りの連絡」でお知らせください。確かめて直し、更新履歴に記録します。